信号どうしの相互作用から生まれるカオス

Hideyuki Suzuki, Jun-ichi Imura, and Kazuyuki Aihara, “Chaotic Ising-like dynamics in traffic signals,” Scientific Reports 3, 1127 (2013).

交差点の信号が、その場で待つ車の量に応じて切り替わると、車の流れを通じて隣の信号にも影響が伝わります。この研究は、南北と東西のどちらを青にするかという二つの状態を、磁石の向きを表すイジング模型のスピンに対応させました。格子状の道路を簡略化したモデルで、局所的な制御から信号全体の振る舞いがどう生まれるかを調べています。

学術的な貢献は、単独では周期的に動く信号を結合した決定論的モデルに、カオスとイジング模型に似た集団的な振る舞いを見いだした点です。乱数を加えなくても不規則な変動が生じ、結合を強めると信号の状態がそろいやすくなります。有限サイズに由来する強磁性的な相転移を数値的に示し、信号の集団を統計物理の対象として捉える理論的な足場を与えました。

交通流を通じて相互作用する信号と、結合の強さによる信号状態の違いを示す有限格子の概念図。