Hideyuki Suzuki, Shunji Ito, and Kazuyuki Aihara, “Double rotations,” Discrete and Continuous Dynamical Systems 13, 515–532 (2005).
円周上の点を、毎回同じ角度だけ動かすのが回転写像です。この論文で考える「二重回転写像」では、円を二つの区間に分け、点がどちらにいるかによって進む量を変えます。ルールは単純でも、パラメータを変えたときの振る舞いには、自己相似的な複雑さが現れます。その仕組みを調べるため、点の動きを一歩ずつ追う代わりに、選んだ区間に戻ってくる瞬間だけを取り出します。すると、区間の大きさを整えた後に、再び二重回転という同じ形のルールが現れるのです。元の問題から別の問題へ移るのではなく、同じ形への帰着を繰り返して複雑さを読み解くことが、この研究の面白いところです。
論文は、この「誘導変換」による帰着を具体的に構成し、得られる写像が、パラメータの異なる二重回転、あるいは単純な回転になることを示しました。同じ形に戻るため、帰着を繰り返すことができ、その過程からパラメータ空間の自己相似的な構造を解析できます。さらに、軌道が一方の区間を訪れる長期的な割合を「放電数」として調べ、区切りの位置に対するその複雑な変化を、パラメータ空間の構造と結び付けています。同じ形の写像へ帰着できるという性質を、複雑な構造と長時間の統計を理解するための解析手法にした点が、中心的な貢献です。